■はじめに
マラソンランナーに多いケガや不調といえば、膝痛や足底の痛みが思い浮かびますが、実は臀部(お尻)や股関節外側、腰部下部の痛みも非常に多い症状です。
特にフルマラソンやウルトラマラソンのように長時間走り続ける競技では、この部位の痛みがパフォーマンス低下や途中棄権の原因となることがあります。
今回ご紹介するのは、年に数回フルマラソンに挑戦する40代男性ランナーの症例です。
走行距離が増えるにつれて、右のお尻の奥〜股関節外側、腰の下部にかけて痛みが強くなり、練習の質が低下していました。
■患者様の背景
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年齢:40代
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性別:男性
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職業:デスクワーク中心
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趣味:フルマラソン(年に2〜3回出場)、トレイルラン
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主訴:右臀部〜股関節外側〜腰部下部の痛み(走行中・走行後に増悪)
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既往歴:特に大きなケガはなし
■症状の特徴
患者様が訴えていた症状は以下の通りです。
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マラソン練習で20kmを超えると右臀部奥に鈍痛
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痛みは股関節外側から腰部下部にも広がる
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デスクワーク後に立ち上がる時、右お尻が強く張る
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痛みが強いと脚が前に出にくく、ストライドが小さくなる
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坂道やスピード練習後に特に悪化する
■痛みの原因を考える
1. ランニングフォームの崩れ
臀部〜股関節外側の痛みは、ランニングフォームの崩れと密接に関係します。
特にランニング後半で骨盤が後傾し、脚の引き上げが不十分になると大殿筋・中殿筋・梨状筋が過剰に働き、負担が集中します。
2. デスクワークによる筋緊張
長時間座りっぱなしの生活で、股関節屈筋群(腸腰筋)が短縮し、反対に臀筋群は弱化。
その結果、ランニング時の骨盤安定性が低下し、痛みを誘発します。
3. 柔軟性の不足
股関節周囲の筋肉が硬くなると、脚の動きが制限されフォームが乱れます。
特に中殿筋や梨状筋の硬さは、臀部深部の痛みの大きな要因となります。
■当院での評価
初回の動作・姿勢評価では以下の特徴が見られました。
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右股関節外転可動域の制限
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中殿筋・梨状筋の圧痛と硬直
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骨盤の左右差(右側が後方に位置)
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腰部伸展制限
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ランニングフォーム観察で右脚着地時に骨盤が沈む動き(トレンデレンブルグ徴候)
■施術プラン
1. 万能ストレッチ整体(股関節・骨盤の可動域改善)
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骨盤周囲の関節モビライゼーション
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中殿筋・梨状筋・大殿筋のストレッチ
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腸腰筋のリリース
2. 鍼治療(筋緊張と血流改善)
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梨状筋・中殿筋・腰方形筋へ刺鍼
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股関節外側のトリガーポイント解除
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血流促進と鎮痛効果
3. ランナー専用セルフケア指導
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股関節外転筋の強化トレーニング(クラムシェルなど)
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腸腰筋ストレッチ
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骨盤の安定性を高めるランジ系エクササイズ
■施術経過
初回〜3回目
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鍼治療後、走行中の右臀部奥の張り感が軽減
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デスクワーク後の立ち上がり動作も楽になる
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骨盤の左右差が減少
4〜6回目
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万能ストレッチ整体で股関節可動域が広がる
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20km走でも痛みが出にくくなる
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骨盤の安定性が向上し、フォームが崩れにくくなる
現在
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月1〜2回メンテナンス施術+セルフケア継続
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30km以上の走行でも痛みはほぼ消失
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タイム更新を狙えるコンディションへ
■ランナー向け臀部・股関節セルフケア
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梨状筋ストレッチ
仰向けで右足を左膝に乗せ、両手で左膝を胸に引き寄せる -
クラムシェル(中殿筋強化)
横向きで膝を曲げ、上側の膝を開閉(20回) -
腸腰筋ストレッチ
ランジ姿勢で骨盤を前方へ押し出す
■まとめ
今回の症例では、フォームの崩れ・股関節周囲筋の硬さ・骨盤安定性の低下が、右臀部〜股関節外側〜腰部下部の痛みの原因でした。
適切な施術とセルフケアで症状が改善し、長距離走でも痛みが出にくくなりました。
臀部の痛みは放置すると慢性化しやすく、坐骨神経痛のような症状に発展することもあります。
マラソンランナーの方は、日々のセルフケアと定期的なメンテナンスを取り入れることをおすすめします。
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